2005 02 13

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職業柄、というかレーベルをやっているせいか、いわゆるデモCD-Rを国内外、有名、無名を問わず結構な数もらっているんだけど最近僕が徹底的につまらないなと思うのは「ぷろせっしんぐうう!!!(ガッツポーズ)」みたいなので、えーとこれはビートが入っていようがいまいが非常につまらない。多分結構前から言ってたと思うんだけど、最近いよいよ本当につまらないなと思います。

なんでこんなことをわざわざ書くかというと、最近特に音が古くなるのが早くなっている、つまりソフトシンセ音源とランダムパン、ピッチシフト、グラニュラーの組み合わせだけで出来たような音楽の寿命というのが本当に短くて作ってからリリースするまでどころかデモ送ってる時点で古い、ということがバタバタ起きているわけで、多分これは止められないことだからフォーカスを変えたほうが効率的だと思うんですね。そうじゃないと、ちょっと音が変なテクノ。とか形式のない電子音楽。とか音に魅力のないドローン。みたいなのがポコポコ生まれるという奇妙な事態に陥るわけで、これはあまり意味がないし、いよいよ新しい音楽に対する購買意欲というのが低下するはずでこれはCDからダウンロードへみたいなメディアの問題以前に結構デカイ。単純に今、大型店だとCD1枚税込みで2500円するわけで例えば2枚買って5000円でそれで両方とも外れだったり手抜きだったりすると次に買いにくるのは当分先になると思うんですよね。僕がそうだし(笑)。だから_ですねそういう事態を避けるために供給過多はよくない。

デモくれた子に「なんでここでパット(コードですな)みたいなの入れたの?」とか聴くと大体「少し分かりやすくしないとリリースされないし売れないから」とか言われるんだけど、そんな心配しなくてもCDは十分に売れないからそういう配慮はやめて、音そのものにアプローチする、というか自分の作っている音に価値があるかということを真剣に検討して作ったほうがいいと思います。面白ければリリースしたいと思っているし本当に面白いと思ったものなら現状、赤字は回避できるので。他のパターンで全てがグチャグチャにエフェクトされて世界がパラっちゃったような音楽を持ってきて「これは自分のパッチで〜」とか説明が始まって最後に「ま、でも基本的に全部ランダムなんですけど」とかいう人もいて、えーと僕は反動的なことは言いたくないので多くは語らないけど、もっと結果に時間をかけた方がイイと。思うのと全部ランダムなんですけど_というものに興味を持つほど世の中は優しくないし古い言葉で言うと創意(笑)のようなものが存在しないものに歴史的に対価は払われていません。これは音楽に限らずだけど。

この手のコンピュータ・プロセッシングって現代音楽で5,60年代に流行った特殊奏法みたいなもんだと思うんですね。見せかけの新奇さ、誰でもできる、適当にやってもカッコがつく、安易に複雑に聴こえる、根本的な質の問題とは関係ないし解決にならないという点で。もちろん同様のプロセスを使っていても音色に配慮した面白い作品もあるんだけど確率で言うとかなり低いのは事実で、もはやそういう時期じゃないのでしょう。じゃあどういう時期だ、というのは面倒だから書かないけどえーと僕もかんばります。