2004 05 25

05 25

終日仕事。mariaは仕事で北海道へ。
そういえば、昨日の夜さやかが家に来てパスタを食べながら色々
話した。

あ、あとATAK003 stilluppsteypaが今置いてあるタワーレコード
のbounceのソニックユース特集にチラッと出てます。
来月のbounceにはレビューが載ります。
ソニックユースの新譜が出るらしいんですね。たのしみ。

で、昨日同様佐々木敦さんのex-musicからスティルアップステイパ
のインタビュー。ちょっと前のものです。

──スティルアップステイパを始めたのはいつのことですか?
「1992年の始め、それまでやっていたギター、ベース、ドラム
の3ピースで、より実験的なことをしようというアイデアのもと
にスタートさせたんだけれど、すぐにいろいろな楽器を導入する
ことになった。チェリストが在籍していた時期もあったし、ハンド
メイドの楽器を使うこともあったね。その後、何度かメンバー・
チェンジを経て、1995年から現在のトリオ編成になったんだ」

──メンバー編成と、それぞれの役割などがあれば教えてください。
「Heimir Bjorgulfsson、Sigtryggur Berg Sigmarsson、
Helgi Thorssonの3人がメンバー。全員が作業のすべてに関わって
いるので、特に各自の役割というものはないね。音作りは個人的に
やる場合と、皆で集まってやる場合の両方だけど、最終段階はいつも
全員で決めている」

──音楽的に影響を受けたアーティストを挙げてください。
「うーんノノたくさんいるよ。でも一番大きいのは1995年〜96年
に一緒にやっていたザ・ハフラー・トリオのアンドリュー・
マッケンジーかな。彼のおかげで、いろいろなことを学べたんだ。
でも、その他にもスティーブン・ステイプルトン(ナース・ウィズ・ウォーンド。ステレオラブとのコラボレーションも有名)やロバート
・ハンプソン(メイン)、エンニオ・モリコーネのような古典的な
作曲家からも多大な影響を受けている」

──アイスランドの音楽シーンはどんなですか? あなたたち以外
にも、面白い音楽をやっているミュージシャンはいるのでしょうか?
「実験的な音楽をやっているバンドはレプティリカス(Reptilicus。
やはりアンドリュー・マッケンジーがプロデュースに携わっている
実験テクノ・ユニット)やヴィンドヴァ・メイ(Vindva Mei。
詳細不明)とか、幾つかいるよ。あとバンドではなくて個人だけど
スカリ・スヴェリッソン(Skuli Sverrison。ジャズ・フュージョン
の分野でも活躍するベーシスト。傑作ソロ・アルバムをオーストラリア
のエクストリームよりリリースしている)やヒルマー・オルン・ヒル
マルソン(Hilmar Orn Hilmarsson。作曲家。タッチよりアルバム
を発表している)などもいる。アイスランドでも、コマーシャルな
音楽がかつてよりもずっと幅を利かせているよ。たとえばビョーク
みたいな、ものすごく商業的な音楽にも、エクスペリメンタル・
ミュージックの影響はあるじゃない?(なんせ彼女のリミックスを
パナソニックのミカ・ヴァイニオが手がけたんだから!)。でも
一般的なアイスランドの音楽シーンは他の国とそう変わらないね。
もしかするとクズのような音楽が排出される割合は、他の国よりも
少ないかもしれないけれど、それでも十分にクズが多すぎるよ!」

──初期はバンド的なサウンドでしたが、現在はまったく違います
ね? 特に”THE BEST PET POSSIBLE”で、大きく変わった印象が
あったんですが、音楽的な変化の理由は?
「僕たちの音楽は常に進化し続けているけれど、特にソノロジー
(音響学。彼らが現在住んでいるオランダの街デン・ハーグの大学
には音響学の充実したコースがある)の研究をして以来、それまで
使っていなかった新しいエレクトロニクス(フィルターやコンピュー
タ・プログラム、ジェネレイター、etc)を導入するようになった。
以前から使っていた機具(かみそりの刃とか)もまだ使用している
けれど、以前とは違ったやり方で使うようになったんだ」

──irr.app との共作アルバムはすごく面白いですが、具体的には
どのようにして制作されたのですか?それから彼のことを紹介して
ください。
「以前からirr.appことマット・ウォルドロン(アメリカのフリー
キー・ジャズ・コンボ、バキューム・トゥリー・ヘッドの元メンバー)
とはコンタクトを取っていた。彼がアイスランドに来る機会ができた
ので、その時に何か一緒にやろうということになったんだけれど、
残念ながら彼のアイスランド訪問はキャンセルになってしまった
んだ。そこで郵便でテープのやりとりをすることでコラボレーション
を始めて、1年半後にはアルバムが完成した。ゲスト・ヴォーカル
にはメルトバナナのヤスコ・Oが参加してくれた。irr.app単独の
デビューCDも素晴しいよ」

──いわゆるテクノからインスパイアされることはありますか?
「テクノの中にも、とても好きなものはいっぱいあるけど、超商業的
なだけのテクノもたくさんあるわけで、そういうのは大嫌いだね!
テクノから影響を受けることもあるけれど、だからといってそれは
僕らが飛び込みたいシーンかというと、それは違う」

──現在、主に使用している機材は?
「コンピュータ・プログラムの進化はすごく速くて、今ではとても
使いやすいものが出回っている。たとえばアムステルダムのSteim
(オランダ国営の電子音楽研究施設。実験的なミュージシャンが
多数関与していることで有名)のとか。他に使っているのはオシ
レイター、種々のフィルター、ジェネレイター、あとマイクを付け
たテープ・マシーンは常に使用する。僕らの音源は考えられる限り
本当に多岐に渡っている」

──最近ではソニックユースの前座も務めたそうですが、あなた
がたの実際のライヴはどのように行なっているのですか?
「ソニックユースの前座はすべて30分くらいの短いものだったよ。
ライブではリアルタイムの音とあらかじめ用意したサウンドをミッ
クスしている」

──memeからリリースされるアルバムもライヴ盤ですが、その
作品について説明してもらえますか?
「今年の2月28日にフィルキンゲン(Fylkingen。スウェーデン、
ストックホルムの実験的な芸術研究施設。定期的にイヴェントや
フェスティバルを開催している他、レコード・レーベルも持って
いる)でコンサートとインスタレーションを行なったんだ。
これは僕らのソロ・ライブで、80分程演奏した。それをA-DAT
に録ってあって、4月から5月にかけてデン・ハーグのKCスタジオ
で50分の長さにまでミックス/エディットした。4週間に渡った
インスタレーションの方は、スピーカーを部屋の各隅に4つ用意して、
観客がどこに立っている位置や、うしろを振り向いたりする行為に
よって、聴こえてくるサウンドが異なるように音響を設計した。
インスタレーションとはうまくマッチしたと思うよ。これからも
こういった試みをどんどんやっていくつもりなんだ」

──では、今後の予定を教えてください。
「最新12インチメreduce by reducingモのCDヴァージョンを出す
つもり。9月頃にはリリースしたいと思っているんだけど。これに
は12チンチ盤には入ってなかったエクストラ・トラックが3曲と、
12インチの曲の違うミックス、それから池田亮二のリミックス・
ヴァージョンが収録される。夏はヨーロッパで何箇所かライブを
して、その後できたら米国でもライブをしたい。あとは未定だよ」