2007 10 05

10 05

そうそう昨日の日記。
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ちょっと前に、不正CDレンタル店で例えば僕のCDを借りた場合に借りている方は僕にいくらかの報酬が発生しているという誤解があって、実際には全くそんなことはないということを書いたと思うんだけど、やはりこれはマズイんですね。なので御茶の水のジャニスと高円寺のスモールミュージックに行ってきました。
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で、まずこれに関してはいくつかの議論があって、代表的なのはCDはいずれなくなってデータ・ダウンロードが主流になるわけで今は過渡期にある。なので旧メディアであるCDもコピーされるのは仕方がない(データではもっと当たり前になるし)というものと
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自分たちも学生の頃はレンタルCDにお世話になったんだから、レーベル及びレコード会社に許諾を取っていない不正レンタルとはいえ、それで裾野が広がればいいんじゃないか、まず聴いてもらうことが大事なんだから。という2つが対処しない理由の大きなものとして挙げられる。
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で、1つめに関しては僕自身全くその通りだと思うし、事実そうなんだけど、ただ現状の実際的な収支など見てみると、やはり楽曲ダウンロードはまだまだ普及していません。特に日本においては。で、日本のレコード会社が日本エリア以外のiTune music storeと契約するのはすごく難しいのが現状です。
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というかメディアからデータへ、という概念は当たり前のように正しいんだけど、現実はiTune music storeの登録が出来ないor面倒くさいという人の数はものすごく多かったり、それどころかamazonのクレジットカード決済の登録すら面倒だからしていない、という人だってすごく多いということがある。
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前から書いているように僕はレーベルをやっているけど、これはレコードジャケットへの愛着とかCDという「モノ」への愛着ということベクトルでは全くないわけで、仮にデータダウンロードが一般的に普及している状態だったら迷わずそれで作品発表するでしょう。
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というのもやはりジャケットの作成やCDプレスにかかる経費というのは実際リスクなわけで、その経費がかからず、しかもアルバム単位ではなく曲単位で発表できるというのは圧倒的に良い(現状で曲単位で発表、つまりシングルとか切ってたら破産します。ジャケ代で)。んだけど、現実的な状況はそこに追いついていないし、音質の問題も未だにあるし、あとジャケットを含めたクリエイティビティに関心ある人が多いということもある。
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なので、現状自分の作品を自分がオーガナイズしたレーベルで発表して採算とっていくという場合、CDやDVDというパッケージ・メディアによって発表するというのは現実的です。で、現状では音質もCDのほうがダウンロードよりは良い。
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で、これは2番目の問題にかかってくるんだけど、レンタル→コピーというのは当然僕も学生の頃していたし、実際不正レンタルCD店にATAKのCDが揃ってるとかいう話を聞いても対処してこなかった理由としては、すごく聴きたくても買えない人もいるだろうし、というのがありました。
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ただ、コピーするメディアがカセットテープだった時代とコンピュータにリッピングしてCD−Rに焼ける時代では全く事情が違うわけで、レンタルしてみてよかったら本物買うというのはあまり現実的な指向性とは言えない。というかそこに期待は出来ないですよね。だってほぼ同じ形態にコピーできるわけだから。
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あと、やはり安いからドサッと山のように借りてとりあえずリッピングしておいてみたいな消費のされ方が多いというのも最近聞いてやはりこれは不本意だなと思ったのです。だってサビ頭とかじゃないし^^:
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で、話戻ると、現実的に自分の作品を発表してそれを売って成立させていくという場合、CDを買ってもらうというのが現状の方法だとするとやはりレンタルは困るし、そもそもATAKの場合、パッケージもプレスも費用がすごくかかっているほうだということはこの前のレーベルサミットでも明らかになったんだけど、価格も限界まで抑えていてこれは要するに買ってほしいからなんですね。
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買ってほしいというのは所有してしばらく後でも時々聴いてほしい、またそれに沿ったクオリティのものをリリースしていこう思っているということです。ATAK011にしても3時間近く入っていてDVDプレスして3000円以内の価格設定にしているものがレンタルされまくったりするとシャレにならないわけです。
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なので、10/10が011の発売日なのでせめてその前に手を打とうと思って、時間あまりなかったけど昼間に高円寺のスモールミュージックに、それから御茶の水のジャニスに伺って担当者の方と話してATAKの全商品に関するレンタルの差し止めをさせてもらいました。
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僕は二店とも初めて行ったので、担当者の方と会うのも初めてだったのですが理解をもって対応して頂きました。
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スモールミュージックの方は「聴き手が先細りしていかないように少しでも裾野が広がればと思ってやっています」と言っていて、ジャニスではCDに丁寧なというかかなり詳細なレコメンドがあったりして、要するに彼らが自分の扱っている音楽に愛情、愛着を持っていることは全く疑いがないと思います。要するに好きなんだな、という感じは伝わりました。
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ただ、行ってみて驚いたのはCD屋は昔に比べて空いていて、実際苦戦しているところが多いのに比べて、平日の昼間に関わらず混雑していて熱心に試聴している若者がたくさんいたということです。しかもレコメンド文など見る限り、よく調べてあるというかつまり熱心なんですね。ATAK000がマイクロスコピックとかいう棚に入っていたのはなんでやねんと思いましたが^^:
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しかしレンタル優勢のこの状況が続くと聴き手が先細りする前に作り手が先細りするのは目に見えていて、事実その兆候は既に世界的にあります。つまりレーベルにとってリリースによる収入が得られなければ制作にかけられる時間も限られるわけで、結果的に手抜きとも言えないような安直なリリースが増える→売れない+やっていてあまり面白くない→でもなんか作らないと、みたいな連鎖は貴族でもない人間の場合は当然起きるわけです。
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で、僕はそれは困るんですね。先方に事情があるのと同様にこっちにも事情はあるので、その場でレンタル停止にして念書も書いて頂きました。なので今後、店頭にレンタル商品として並ぶことはないと思います。
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僕は正義によって行動はしないので、レンタル店というもの自体の正否などは問わないしそういう時間もないけど、僕自身とレーベルの方針として不正レンタルは割に合わないので対処させて頂きました。
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夜は18:30から東大で第三項音楽のシンセサイズのミーティング。その後、駒場のさわやかというさわやかではない店で池上さん、大海君達と食事。