2005 07 25
07 25
夕方、mariaと母親と久しぶりに3人で食事をしてから浜離宮朝日ホールへ。
高橋悠治のバッハ、シューベルト、シューマンというトーク&コンサート。タイトルは「暗闇きらめき−理性の音楽・歌の別れ」。トークは西洋音楽の中での啓蒙主義とそれに伴う歴史を紐解いていくんだけど非常に面白かった。ここで再録したりするのは無理なくらい充実した内容で西洋音楽の歴史を単線的な進歩の歴史としてではなく斬れるのは悠治さんしかいないだろうなあ。僕はアジアの音楽のことで時々電話質問したりするんだけど答えられないことがほぼないというのはすごいなと。思ってます。
演奏はバッハが素晴らしいのは当然のこととしてシューマンが凄かった。悠治さんの弾く「クライレスリアーナ」と「子供の情景」が入ったCD(現在多分廃盤。こういうのは再プレスするべきだよな)は何年も時々聴いてる愛聴盤で曲も好きなんだけど、悠治さんとシューマンは非常に相性がいい気がする。ちなみにホロヴィッツの弾く「クライレスリアーナ」も本当に素晴らしいんだけどこの良さを説明するのは非常に難しい。音楽がフィットしている。というのは大事なことで悠治さんにもホロヴィッツにも感じるんだけど、ホロヴィッツは非常に精神的に不安定な人だったらしいんですね。何回も引退宣言しちゃうような。で、悠治さんもある種の不安定さというのを持っていてシューマンはいわずもがななわけで、あの奇妙としか言い様がない転調と展開を弾くピアニストはやはり同じようにシンクしているんだろうなと。思いました。アンコールはATAK nightでも弾いてたサティのグノシエンヌ5番。悠治さんの弾くサティは最近西洋音楽に聴こえない。当然フランス音楽にもまったく聴こえない。
帰りは悠治さんと美恵さん、鮎生君達と渋谷まで一緒に帰ってきたんだけど、悠治さんになぜパルティータの3番?と聞いたら初めてコンサートで弾いた<クラッシクの>の曲だと笑いながら言っていた。