2003 01 25

01 25

最近気になってたのは椎名林檎の新曲がいいっていうことで、一番
いいなーと思ったのはCMで3秒くらい流れるときなんだけど(笑)
声と弦のバランス、組み合わせ方が非常によかった。

というのも今日、全体像を初めて知った、というか聴いたんだけど、
ビヨークのdancer in the dark以降ということとその距離を厳密に
意識したハリウッドミュージカル的なオーケストレーションとJAZZ
的な(って言っても本格的なのじゃなくてロングスパンでこの国で
流行ってるクレイジーケンバンドとかエゴ・ラッピンとかそういう
フェイクな感じ)リズム、グルーヴというともすればスタイルのコラージュ、パロディに陥りがちなバックトラックは正解かどーかはともかく(好き、嫌いで言ったら好きじゃないんですが)、ローファイだったり
エレクトロニカっぽかったりするリズムトラックとストリングスを組み
合わせたバックトラックのうえで、何がそんなに苦しいんですか、具合
が悪かったら添乗員を呼びましょうか?っていうくらい声を絞り出すよ
ーに歌う、いわゆる「ビヨーク以降」の歌姫(笑)の中で、その罠を
回避しつつある種の猥雑さも混入させるという手法は成功してると思い
ます(僕がCMが一番よかったというのはそういうスタイルのパロディ
とかとは無関係に声と弦という官能feat.官能みたいな組み合わせの中
に埋没しない、極めて官能的なんだけど弦とのバランスが絶妙にコント
ロールされたヴィブラートがよかった。っていう感じです)。

で、それだけでも彼女の優位は圧倒的なんだけど度々登場させて
ゴメンナサイな「ビヨーク以降」のいや、はっきり言うと全然表現
力とか劣ってるのにビヨークになりたいーっていう歌姫の誤解って
いうか悲劇はバックトラックが個性的だったらメロディが弱くても
いい、っていうかさらに抽象的な世界に溺れてしまいたい、そのほう
がアーティスティックだしっていう方向性でこれは歌。っていうもの
の特性を考えた場合致命的に間違い、っていうかうまくいかないなー
っていう気がしてしまうんですね。

ここで歌というメディアなーんていうことに詳しく言及したりする
つもりも時間も無いんだけど、あくまでも歌であること、何かしらの
言葉を発音することを前提に考えた場合メロディの強さとその骨格、
構造は「命(っていうギャグは結構短命でしたね)」なわけで、そう
した意味でバックトラックやその他諸々の意図を服従させる強いメロディーとそれを歌う椎名林檎は(ってさっきから面識もないのに呼び
捨てで書いてますが林檎さんとか書くと童話みたいなんで)優れている、いや美しい。と思ったのです。