2007 02 26
02 26
ツアー日記再開。2/17〜18。
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2/17は12時くらいに会場入り。ホワイエの階段の上に設置した新作インスタレーション「Taylor Couette Flow」も問題なく動いててよかった。
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それを確認した後はスタジオBでサウンドチェック。スタジオBは残響が多く、コンサートの場合結構使い方が難しい。音が作りやすいということで言うとスタジオAのほうが圧倒的に快適だ。特に最近の僕の場合はステージのある前方からステレオ2発でドーンッという音の作り方になっていないので、音響の伊藤君と色々試行錯誤。しかし終わらないので最後にもう少しやろうと課題を残して、エバラ君やGoem、Pan sonicのミカとチェックしていく。
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15時過ぎに灰野敬二さんが到着。前にも日記に書いたけど今日の山口公演はPan sonicのイルポがインフルエンザで来日出来なかったため、急遽灰野さんとミカのデュオに変更したのです。急なオファーにも関わらず快諾してくれた灰野さんに感謝。
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到着したときには僕は下のイタリアンでピザを食っていたんだけど、連絡をもらってスタジオBへ。スタッフがみんな緊張していて面白い。僕に会うなり「渋谷君だよね?」「あ、そうです」「なんか印象違うからさ」「え、そうですか?眼鏡かなあ」「この前はスーツ着てよね?今日Tシャツだから感じ違うなと思って」と言われたのですが、初めて会ったとき(よく考えると今日で会うのは二回目)ジャケットは着てたけど確実に下はデニムだったはずでスーツって。大雑把すぎておもろい。
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しかし灰野さんは非常に付き合いやすいというかフラットな人だ。僕は無意味に偉そうだったり怖かったり高圧的だったりという人が非常に苦手で、しかしそれでも才能があったり自分に無い部分がある人とは付き合っていくことはできる。また、第一印象が上記のよう、という人は結構いてそれはある意味僕もそうなのかもしれないと思うんだけど、これは人にどう思われるかということに興味がない、ということがほとんどで何の罪もないと思うので全く問題なく付き合える。というか話すと面白いことが多い。最悪なのは無意味に偉そうで話すとつまらない、というのでこれは無視するしかないと思うんだけど、そうした諸々を考えても灰野さんの場合非常にフラット、というか真摯な印象が強い。
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また、アナログやデジタル、演奏や即興で原理的な態度というのは言うまでもなく意味がないんだけど、実は結構多い。典型的なのはラップトップだからダメとかアナログだから太いとかその手で、まあこれはプロの場合は何を選択するかというのはかなり大きな決断なので勢い余ってそういうとこにいってしまうのはいいんだけど、ヲタクでその手のは救いようがなかったりする。はあ。でも選んでるんだから仕方ないよね?としか言いようがないような。
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灰野さんの場合、膨大なアナログエフェクターを使ってボイスも使ってというスタイルなので当然ながらセッティングに時間がかかるし、結線が多いのでノイズが乗るとそれを解明するのに時間がかかるんだけど、それらを繋ぎながら笑いながら「未だにアナログでやってまーす」と言っていて、これは自分のスタイルとしてそれらが血肉化しているからそれを変更することはないけど別にそれが絶対的ではない、という両義的な態度で非常に信用できると思った。何をやるか何でやるかという選択のは避け難く存在するという上でそれが絶対的に正しいと信じていると当然排他的になる。これを原理主義という。選択した上で揺れ動くということは可能で、しかもそれは結構持続に体力がいると思うのだが正しい態度じゃないかと思う。
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そんなわけで、サウンドチェックは時間目一杯までかかって、ジンポジウムの時間へ。思ったよりもたくさんの人が聴きに来ている。
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シンポはYCAMの阿部さんの進行のおかげもあって無事終了。ミカが「アナログの機材のみでやっているので予測不可能なことが起こる。これだと思った音が出たときは、おかしいと思われるかもしれないけどまず静かにして部屋の窓を締めてそっと録音を始める」と言っていたことが心に残る。そこで言うアナログという装置がコンピュータの中で作れたらとも思う。
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シンポが終わった後、やっと僕のサウンドチェックの続きをやって、一応終了。
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コンサートの開場と同時にすごくたくさんの人が会場に入ってきて驚く。他県からもかなりの問合せがあったとのことで、嬉しい。
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ライブはevala→Goem→僕→ミカヴァイニオ+灰野敬二の順番。自分のライブには不満が残った。準備不足を感じて悔しい。ミカと灰野さんのライブは中盤がホントによかったし完全に食われた。このままだとデジタルだからやはり平坦でライブはやっぱりアナログだよねという定型そのままになってしまうので、ツアー中も時間を見つけてどんどん改良しなければまずいと決心する。改良というか作り変えていかないといけない。
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という気持ちが色々回りつつも無事ツアーがスタートした安堵感も少しあって打ち上げでは色々な人と話したし楽しかった。が、ライブの改良のことが心から消えないのでまだ店に人は残っていたものの退散。爆睡。
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2/18。朝の8時に起きて宿泊した富士の家の温泉へ。非常に泉質がいい。ササッと入ってから着替えて、mariaを部屋に残して僕とエバラ君はYCAMへ。昨日のコンサートに来てくれていたサウンド&レコーディングの國崎さんと待ち合わせ。今日は心斎橋のapple storeでfilmachine phonicsのトークイベントが14時からあってそれに間に合うように出発。ミカとGoemのフランスはmariaが京都に連れて行くことになっている。
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あまり寝てないけど、行きの新幹線で國崎さんと色々話したのは面白かった。ライブについて、機材についてなどなど。13時頃心斎橋について会場へ。セッティングは簡単に終わって、本番。國崎さんと公開対談形式でfilmachineからfilmachine phonicsに至る経過を話して最後は全員にipodを配って全曲試聴会、という基本的には銀座と同じ流れ。無事終了。
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終了後、三人でお好み焼きを食べてから僕とエバラ君は京都へ。國崎さんは新横浜へ。
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京都駅からタクシーで宿泊先のアーティストハウスへ。maria、フランスと合流。夕食後、ライブの作業を朝まで。ヘッドフォンでやっているのでローエンドが分からず、苦労する。