2007 07 11

07 11

夜、悠治さんのピアノのコンサート@紀尾井ホールへ。結構前に招待状を頂いていて楽しみにしてたのです。
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赤坂見附から歩いてすぐなんだけど、僕はこの辺の風景というか感じが結構好きだ。この辺というのは赤坂方面ではなく(というか赤坂方面の飲屋街とかは非常に苦手)紀尾井ホールに行く途中や過ぎてからのほうなんだけど、すごく昔に珍しく昼間に散歩したことがある。
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コンサートはシューベルト、モーツァルトに石田秀美を挟んだ前半とクルタークのJa´te´kok(遊び)から抜粋が後半。僕が楽しみにしていた理由ははっきりしていて悠治さんが弾く石田秀美さんのピアノ曲が非常に好きだからです。これは終演後に楽屋で悠治さんにも言ったんだけど、ここには否定による形式や構築、コンセプトなどがない。ないとかしない、ではなく在る、という角度から様々な響きや旋律の断片、というか縦の線も横の線も生まれて堆積して気がつくと消えているという不思議な感じがある。
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こういう音楽は非常に稀です。コードは使わないとかメロディはないとか音程の組み合わせの制限のように〜しない、という方向から変わった響きの連続や新しい雰囲気を作るのはさほど難しくはない。けど、ここには多種多様な断片が煙のように漂っていてしかも聴いたことがない、とかあるという分別を無効にする強さがある。ほとんどが小さい音なのに。
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漂っている、とか揺らいでいるという表現は安易に使われることがあまりにも多く、ほとんどの場合は決定項も決定打も出せない優柔不断なダラダラした音楽だけど石田さんの場合、この音の組み合わせでなくてはならないという決定的な強度が薄い音の連続にある。今日演奏された2曲も非常に素晴らしかった。僕は「水」(2001) が非常に好きでした。
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クルタークはEMIから出てる作曲者の自演盤を持っているけど、今日のほうが全然面白かった。全て書いてある曲の場合、人が弾いたほうが面白い場合が多い気がする。というか全て記譜することの長所はそれか。
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終了後、楽屋で悠治さんに挨拶。借りていたケージの本は買ったので返したり。あと相当ウケることは言ってたけどとりあえず割愛^^: