2005 12 11
12 11
相変わらず寝る時間がない、そして寝ても蓄積した疲れがとれない渋谷です。メールレスなど遅れてますが18日が終わったら少し落ち着くのですいません。
第三項音楽、大体形が見えてきました。これはやはりとんでもなく難しくて、例えて言うと(良い悪いとかじゃまったくなくて)生きてる魚を料理するのと死んでる魚を料理するくらい違う。
僕がよく書いている運動から音楽を考えるというのはコンピュータでやっているのでsound fileを作るときにdb(デシベル)情報とサンプリングレート情報を干渉させてコピーを増やしてというプロセスを様々なプロセスで行い結果として、ある傾向の音色と運動をもった何秒、何分かの連続した音を作ってそれをもとに拡大したり変形したり他のプログラムから生まれた音と組み合わせて音楽を作っていくというものです。
で、お気づきように重要なのは
・音を作る際にdb,サンプリングレートの干渉なので周波数(音の高さですな)という項目がない
・そうやった出来たfileを結果として提出する、つまりノイズをノイズとして受け入れるというスタンスではない
・全体構造から考えない(必ず失敗するから笑)。
ということで、一番目を話すと「でも。。。出来たものにはピッチはあるよね?」とか言われるんだけど、当然音なのでピッチはありますよん。ただ生成の際になくて結果として現れるという非対称性なんていうのは非常によくある、特に非線形科学ではあることです。二番目については言わずもがななので省略。3番目は出来たsound file、つまり部分と全体の部分を検討、観察するというシュミレーションと研究が現状で、そこから考えていくのが絶対に面白い音楽を作るのには正しいと直感してます。
そもそも、僕がなぜこんなに第三項音楽に集中しているかというと。音が動くからなんですね。000を作った後にあれの続編を作ろうと思っていたんだけどサインウェーブで作っていると「音動かないな」というのが非常に大きな問題で、要するに点描的になっていく。もちろん音を磨くという過程はあるにせよ、音を座標軸に置いて構成していくということ自体スコアを書くのに近くなってしまうというのが問題だなと思ったのです。で、これ以上先に進むのは難しいなと思っていた。動く音としての自分の弾いたピアノやアナログも使ったけど。
そんなときに池上高志さんと出会ったと。あれは多分5月とかそのくらいだったと思うんだけど、彼が日本で始めた複雑系というもの自体、運動とシュミレーションが中心課題なので僕のそのときの興味と合致しててすごい偶然だったんですね。で、よく言われる「音の最小単位はサインウェーブ」みたいな方向からではなく音楽が作れるんじゃないかと話していて、一緒に音楽を媒体に研究と実験を始めようということになったのが今年の夏だったんですね。これは池上さんが僕の000を聴いて人工的なプロセスで自然に近い複雑さを持ったものが作れるのかと思ったこととレイヤーによる複雑性に興味を持ったからというのと僕が音一つの情報量から運動の可能性に興味が向いていたということがシンクロしたわけでペースとしては非常に速い。で、池上さんの研究室と家がすごく近いこともあって週に3回くらい会って話したりテーマをしぼったりして方向性が決まってやっと音が出た(発音自体が運動のプログラムで書かれているからシンセとかサインウェーブで音出してというのじゃないんですね)のが9月。その頃はレスラー方程式や南雲方程式使っていて、これは18日のコンサートでも池上さんが話しているときの背景に使おうと思ってます。
で、9月に始めて音が出てからも非常に、というか非情な困難があまりにもたくさんあって笑ってしまうくらいだったんだけど(実際に何度も狂ったように二人で笑いあいました)、ともかく聴いたことがない音が出来るから面白くて続けていたら10月くらいに神経細胞の発火システムをプログラムに使ったものであるリズムを持ったsound file出来て、そのあとまた色々やって池上さんのテープとマシン理論を使ったプログラムに行き着いたという感じです(このプログラムはインスタレーションにも使っていて断続的なちょっとあまり無いタイプの音の運動を作っている)。それで11月に分かったのはプログラムで作られた音はraw detaで吐き出されるので通常の音楽ソフトでは読み込み不可能だということで、変換もソフトによってマチマチだったりということで、これはある意味象徴的でした。作曲に至るのがなかなか時間かかったんですね。
というわけで当然ながら今回発表するものはプロトタイプという形です。だから完成度みたいなもを求めている人は面白くないかもしれない。ただ、ここ半年でスタートしてdub lilacのCD作ったりいくつかCMとか別の音楽作った以外は没頭してた成果なので聴いてほしいなと思ってます。すごく。17,18日にお会いしましょう。