2004 12 22

12 22

ATAK NIGHT_tokyoの日。

15:30に会場のsuperdeluxeに入るはずが異常な渋滞で30分以上遅刻。
渋谷から六本木、青山方面に行くとき渋滞にぶつかると一本道が故、絶望的な気持ちになる。
家から僕とmaria、シギー、エバラ君、今日手伝ってもらう造形の西尾君でタクシー分乗。

遅れて到着するともはや専属と言ってもいいくらい最近の僕のライブサウンドシステムをやって頂いているAOさんとバラッドの森さんのコンビ(えーと最強だと思います。コンパクトで高音質で。ちなみに1/27のアップリンクもお願いするつもりどえす)がPAセッテイングを始めていた。
なので僕達も至急にセッティング開始。今回は楽器もそうだけど客席の配置も含めた全体の構成をlee君にお願いしていて要するにsuperdelluxeというハコをどういう風に使うか(って言っても奇想天外なことじゃないんだけど)っていう部分もあるので時間が足りない。開場まであと4時間くらい。

機材の台とかはこの前の下見のときに全部会場のを使うことにしていたのでそれをどんどん配置して機材を置いてやっとサウンドチェック。映像はエバラ君が着々と進行。

僕のサウンドチェックを兼ねて音場を入念に調整。音量と音圧はこの規模のハコならまったく問題ないので重要なのは音のスピードで、アタックの瞬間がどれだけ早く伝わるかということに細心の注意を払う。大概のPAは僕にとって遅い。遅いというのは非常に感覚的な問題なんだけど致命的で例えば家で音楽を聴くときよりも音量はあるものの音にスピードが感じられなかったら「ヤ、ヤバイ」とかいうことは起きないわけで。lowは十分に入るし、僕がよくライブで使う低音の周期が異なるリズムのレイヤーは問題なく知覚できるから後はスピード。ということで調整→完了。

18時過ぎにゲストの高橋悠治さんと伊東篤弘さんが会場入り。順番にサウンドチェック。悠治さんはコンピュータとピアノ、チベットシンバルという組み合わせでチェック。ジャンベのランダムな連打に合わせてピアノを弾いたり。伊東さんは今日のために改良を加えたオプトロンをギターのように抱えて連射したりしながらサウンドチェック。カッコイイ。
19時頃に全員が使うアナログシンセ3台のチェック。要はオシレーターなのだがコンピュータを介さないで出すオシレーターの音が非常によくて僕もAOさんもやられる。今回映像は波形をリアルタイムで表示しているんだけど非常にキレイ。

で、20時に開場。僕達は控え室で合奏の打ち合わせ。できるだけ慣れてないことをして欲しい、自分の楽器じゃないものを移動してチューニングしながら鳴らしてほしい、テーマは世界の終わりは音楽の居終わりではないで(ここで悠治さんにおおーとか冷やかされる)世界が終わった後に自分が残っていたらどんな音を出すか、そこにどんな音が流れていればいいかっていう感じなんだけど、などと話す。
会場はいい感じで埋まってきている。

20:30開演。客席は満員。全員登場して合奏からスタート。思いがけずアグレッシブな展開になる。僕はピアノを弾きまくって(久しぶりにヒジも使いました・笑)、悠治さんはシンバルを打ち鳴らしながら練り歩き、シギーはMS-10でノイズのループを作ったり。音が密集しているところと粗なところのバランスが面白い。15分くらいやった後そのままmariaのソロへ。mariaは今回のツアーでは一貫して異なるピッチ、音強の加工していないサイン波とインパルス波の組み合わせ(僕と逆ですな)でライブをやっていて非常にミニマルで静か。低音のドローン。
そこに伊東さんがオプトロンを持って登場して最初mariaとデュオ。非常に好対照。mariaが抜けて伊東さんのソロへ。連続と断絶のバランスが非常にロックな感触。ここで第一部終了。

しかし今日のシギーの気合いの入り方はハンパじゃなくて、「今日で最後だね」とか「これは僕達にとってすごく大事なコンサートになると思う」とか何言っても珍しく真剣な顔で「うん、分かってる」「あと何分で出ればいい?」とか繰り返してて、多分ちょっと緊張もしていたと思う
珍しく真剣な顔で、というのは福岡のコンサート終了以降僕達は殆どの時間をセックスとドラッグに関するジョーク、というか下ネタに費やしていてmariaが頭を抱えるというパターンが横行していてこれは多分僕が女の子がいようがいまいが下ネタを連発しているのを見て日本はそれがOKな国だと思ってハジケたんだと思う。シギーの彼女はマジメでこの手のジョークはNGだって言ってたし。

で、休憩の後はそのシギーのライブから。大阪同様、奇声と空手チョップみたいなアクションからスタートして(とはいえ今日は長め)3台のCDーJとミキサーを駆使して音楽をレイヤーしていくんだけど彼のドローンは多くがフィールドレコーディングを元に加工を繰り返したもので非常に質が高い。簡単に分別するとドローンで質が低いものというのは1)人を不安にさせる、2)人を安易な多幸感に包ませようとするのどちらかかその両方で、これに当てはまらないものは以外に少なかったりする。シギーとミカ・ヴァニオとあと何人か思いつくけど、ま、とにかくその多層的なドローンにビートが挿入されたり(今日はキックが多かった気がする)ノイズがレイヤーされたりATAK003の素材が入ってきたりで40分くらいがアッという間に過ぎる。

そこに悠治さんが加わって少しだけシギーとデュオ。シギーのドローンがフェードアウトして悠治さんのソロへ。
悠治さんのソロはすごいカッコ良かった。彼がラップトップ使いはじめてからのベストテイクなのではという出来栄えだったと思う。ガートルド・スタインなどの複数の声、ジャンベのランダムな連打、イラクの子供達の歌といった具体音が素材のほとんどなんだけどミュージックコンクレートやコラージュとも違う感触でフォルムが出来る直前に断絶というパターンが続く。断片によってはほとんど曲として構成されていると思われるものあったり。非常によかった。で、ホントは後半にピアノを弾くことになっていて、その後僕と重なってから僕のソロという流れだったんだけどいつまでもたってもピアノに行かないんですね(笑)。後で聞いたらピアノに行くヒマがなかったとか言ってたんだけど、だったらという感じで僕は悠治さんのコンピュータの上にピアノで参加。
いきなり悠治さんの「さまよう風の痛み」という曲を弾き始める。

これはちょっと前から考えていたことで、多分言わないで弾きだしたらびっくりするだろうなと思って秘密にしておいたんだけど、僕はこの曲が大好きで5〜6年前に彼からこの曲の楽譜をもらってから時々弾いたりしてたんですね。家で。で、今回はピアノもある会場での共演だから弾く機会を伺っていたのです。
悠治さんもびっくりしたみたいだったけど、さすがと思ったのは「さまよう〜」が進むにつれて音数が減っていってほぼ僕のピアノソロになった後にすごいハシューノイズでかき消されたんだけど、このノイズの素材はATAK002に入っている悠治さんの音でオッ意趣返しだ、と思って顔を見ると得意気なのがなんか嬉しかった。

その後の僕のソロは意図的に非常にミニマルなセットにしてみた。これはコンサート全体で考えてのバランスで音もいいから非常に気持ち良くできたけどもう少し逸脱があってもよかったかもしれない。
その後、最後に全員で少しだけやって終了。拍手が長くてすごく嬉しい。

イベントが終わったときに不思議な満足感があって、というのも僕は完璧!と思ったときしか満足しないけどこのイベントに関してはそれとは別の不思議な達成感があった。以前カールステンとやったときは何が何だか分からない中でのことだったから、このイベントはATAKでオーガナイズする一回目として多分忘れられないものになったと思う。
もちろん自分のライブには満足していないし、全体として不完全なところもあったけど000を出してこのイベントとツアーがあってやっとATAKの第一期が終わった気がする。次に行けるし次はもっとうまくいくという確信も持てたしダンスミュージックを入れないでこれだけたくさんのお客さんに来てもらえたことがすごく嬉しかった。どうもありがとう。やってよかった_と思います。