2003 09 16
09 16
昼間、オノセイゲンさんのサイデラマスタリングにSACDや
サラウンドのシステムを見に行く。
以前、外苑前のベルコモンズの近くにあった頃はキーボード
とかピアノのダビングに行ったり、結構よく行ってたんだけど
新しいスタジオになってからは初めて。
ワタリウム美術館の近くにあるその建物は住宅街の奥まった
位置にひっそりある一軒家で階段を地下に降りるとスタジオが
あった。
セイゲンさんのメインのスピーカーシステムは5台のfostex
NF1-Aでこれは僕も使っているんだけどすごくフラットでは
ないものの着色の少ないところはサラウンド向きだと思う。
セイゲンさんが最近やったアルバムとか他のSACDを聴きながら
色々教えてもらう。
インスタレーションはサラウンドシステムがメインであとは
モノラルという通常のステレオの配置は使わないので参考になる
ことが多い。
この前、NHK放送研究所で見せてもらってから僕は立体音響に
すごく興味があって5.1チャンネルのシステムはその民生版だと
思う。
このシステムのために作品を作った場合やはり1回性の強いイベント
的な、知覚の拡大を意図するもののほうが意味は大きいし、それ
には100チャンネルの技研のシステムは非常に可能性があると思う。
いつかその可能性をフルに生かした作品を作りたいと思ってます。
とはいえ音質や特にhighの伸びは魅力で、CDプレイヤーの出来て
から5年の普及率と比べるとSACDプレーヤーの普及率の方が高い
らしくて普及に関しては期待できると思う。
で、よく言われることだけど問題は良いコンテンツが無いことで
セイゲンさんがレコーディング、ミックスしたものは自分のアン
サンブルの他に竜笛やフルートアンサンブルなどどれもアコース
ティックのライブ性の高いもので、それはザ・フォーク・クルセ
ダーズの見事なミックスに端的に表れてるように楽器とスピーカー
の対応、セパレートを明確に出しているのが特徴で、これは成功
していると思う。
最悪だったのがピーター・ガブリエルとノラ・ジョーンズのアルバム
で後者は単にサラウンドにする意味がないミックスと過剰な演出が
鼻についただけでルックスは好きなんだけど(笑)単につまらな
かった。
問題はピーター・ガブリエルで要するにシンセの音が良くない、
というか現在SACD=生演奏みたいな安易な、スノップですら
ある風潮が定着してるのはこの問題が大きいのではと気付かせて
くれたCDだった。
SACDはDSDという今までのレコーダーからは考えられないくらいの
スペックを持つマシンに録音していくんだけど、これは良い楽器と
良い演奏を良いマイクを使って限り無く生と近い状態で保存できる。
問題は多くのデジタルシンセやシーケンサー、オーディオインター
フェースは例えばnumanの良いマイクほど優れたAD/DAを持って
いない。と思う。
だから単に音が悪いのが生との対比で目立つということになっていて
もちろんアナログシンセに関しては問題ないかもしれないし、それを
アンプで出してマイクで拾ったりすればいいのかもしれないけど
それは殆どアコースティック楽器と変わらない。
プログラムされたものに関してはそういうわけにいかないので、やはり
音のジェネレート、パンニングやダイナミクスから検討する必要が
ある。単なるデジタルシンセの<打ち込み>では生に比べて音が
悪いということにしかならなくて、ピーター・ガブリエルのリミックス
盤はその典型だと思う。
繰り返し書くけど、SACDのように録音のスペックが上がるとやっぱり
生がいいねーとかいうのは単なる反動、揺り戻しでしかない。
というかそういう類いがオーディオマニアという人種には多いのも
確かなのだが(笑)僕は興味ない。重要なのはシステムによって作曲法
が変わることで、その意味で言えば多分近い将来サラウンド、SACD
による作品というのを作る機会というのは出来ると思う。
最近こーなればいいなーということは実現してるので楽しみなんだ
けど(笑・SACDはプレスに費用がすごくかかるからATAKだけでは
無理だと思う。今のところ)。
帰りにon sundaysに寄って草野さんに会う+立ち読み。
藤原ヒロシが個展をやると聞いてびっくりする(笑)。