2008 07 21
07 21
代官山のlift etageでcarol christian poellの近作をまとめて見た。こういうクリエーターがいることは救いだ。
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朝の5時から夜中まで一人でアトリエで日本から取り寄せた生地の加工から縫製、裁断までやっていて常にチャレンジしている。なのでトレンドとは関係ないし常に新しい。
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しかも新奇なだけではなくパターンの基礎からテーラーリングまで全て熟知しているので作りとして全く無理がない、が、例えば裏地には木工用のテープが駆使されていたりもする。
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歴史、というと大げさだが技術も新しいチャレンジも等価に扱える音楽家がどれだけいるかというと疑問だ。音楽だけではなくあらゆるジャンルでそういう人は少ない。けど、それだけがある種の豊穣な挑戦の持続を可能にしているのも事実だ。
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あと僕は初めて見たんだけどGUSTAVO LINS(グスタボ・リン)という在パリのブラジル人のデザイナーは本当にすごい。ここ数年で一番驚いたかもしれない。
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ヴィトンやガリアーノのテクニカルサポートをやっている人で、なんとパターンを引くときに平面に描くのではなく、自ら人体の石膏を作ってそこに布を当てていくことで作っていくらしい。
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服は三次元立体物にも関わらず、利便性から平面のグラフィック的発想、つまりペンで紙に書くという二次元的手法で作られてきた。でも、彼の場合は人体の石膏を使うことで最初から三次元で構造が作られている。なので堅い素材のジャケットも着ると驚くほど軽く柔らかい。
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しかもLANVINのように柔らかそうな素材で軽いというのではなく、明らかに見た目とのギャップがあって、かなり好みだった。
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三次元とか二次元とかいうのは概念の問題ではなく三次元になると直面する困難というのはある。音でもそうだ。
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filmachineを作っているときも思ったんだけど、音楽として面白いということとは別に体感や知覚の部分で例えば「音、縦に動いているよね?」というのが美学の問題ではなく実現できているかということは素人にも分かってしまうわけで、要するにクリアしてる/していない問題が発生する。
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GUSTAVO LINSの場合も平面的に服を見たときにカッコイイかどうかでデザインを考えるのではなく着心地やフォルムの問題をそこをクリアすべきこととして設定しているが故に石膏を使うということなのだが
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さらにすごいのは全ての服がリバーシブルとして作られていて、しかも裏返すと全く別のものになる。ちょっと狂っているというか凄すぎる。それでいてフォルムも素材も素晴らしく美しい。