ATAK000

Keiichiro Shibuya

18 December 2004 Released









誰が言ったのか?、数学は芸術ではないと。
誰が言ったのか?、計算は創造ではないと。
誰が言ったのか?、物理は神秘ではないと。

 

誰が言ったのか?、人工性と有機性は逆立するなどと。
世界を司る論理と、世界を造り出す思考との、果てしなき鬩ぎあい。
そこに美は生まれ得ぬなどと、誰が言ったのか?
厳密さと精確さは、計算可能性は、エモーショナルな感動と、けっして矛盾しない。
音は数であり物でもある。
そのことに思い当たった時、新たな旅が始まる。
誰が言ったのか?、それは音楽ではない、などと。

 

サイン・ウェイヴ・ルネッサンスを経たクリック&カッツ/グリッチ・レボリューションは、電子音楽の歴史を大きくドライヴさせた。
その営みの全てを統べる完璧な作品が、今ここにある。

 

音の粒子と構造の中で、無限の「音楽」が脈打っている。
このアルバムは、まぎれもない「作曲家」=渋谷慶一郎の最高傑作である。

 

佐々木敦(HEADZ/FADER)

 

 

2年前にATAKを始めたときからソロアルバムのリリースは課題だった。
そのために000は取っておいたしずっと作業も続けていた。途中で捨てたものもたくさんあるし、 2年前の曲もあるしつい最近作った曲もある。ここには僕がATAKを始めてからとその前を繋ぐもの、つまり今の僕の全てが入っている。
1人でも多くの人に聴いて欲しい。なんて思ったのは今回がはじめてです。

 

渋谷慶一郎 (ATAK)