Description Instability (2005)

TITLE: Description Instability (記述不安定性)
ARTIST: 池上高志 + 渋谷慶一郎

PLACE/DATE:
ICC (NTTインターコミュニケーション・センター) ギャラリーB5
2005年12月16日 – 25日

CREDIT:
池上高志 + 渋谷慶一郎

音響・映像解析プログラミング: evala (ATAK,port)
シリンダ制御システム開発: 大海悠太
理論協力: 本條晴一郎
撮影協力: 逢坂芳郎 (ATAK)
照明協力: 伊能英憲
ケースデザイン: myeong-hee lee (ATAK,matt)
制作アシスタント / CCDカメラデザイン: maria(ATAK)

CONCEPT:
なぜ水は乱れるのか?かってロシアの物理学者のランダウは、新しい周期解が無限に出現して乱流に至ると考えた。これはとても分かりやすいのだが、現実にはもっと面白いことがある。「3つのお互いに関係のない周期が現れると乱流化する」という革新的な考えが、1971年に2人の数学者ルエレとターケンスによって提唱された。この作品で用いたテイラークエット流をつくる装置はその具体的な例と考えられている。同心円の回転するシリンダーを2つ重ね、その間に水をいれる。内側のシリンダーを回転させると、安定した縞模様(クェット流)と円周に沿った波の渦パターン(テイラーの渦)が出来てくる。この波が円周に沿って回転してるのが第一の周期に対応し、その波の一部がときどき崩れて回転するのが第2の周期に対応している。内側のシリンダーをだんだん早く回転すると、第3の周期にあたるパターンは現れず全体が不安定化して乱流構造が出現する。展示では回転数が自動的に変動し、注意深くみるとこの変遷を観測することができる。

作品では水にアルミニウムの粉を混ぜて光を反射し、CCDカメラにより流体パターンから信号を取り出しリアルタイムに音と映像を生成している。音はコンピュータの自律的な進化アルゴリズムにより何度も変成をうけて出力される。またHDVideoはより俯瞰したフォーカスで装置を撮影し続けており、事前に撮影されたいくつかの映像とともに一つの運動を異なったスケールで展開する。
通常音楽はサインウエーブの組み合わせのようなフーリエ的思考によって作られている。特にコンピュータを媒介した場合その傾向は顕著である。われわれの提唱する「第三項音楽」は、サインウエーブに還元しないパターンとダイナミクスに基づいた新しい音楽の生成法であり、このインスタレーションはそのメタファーであると同時に運動によって生成する音の装置でもある。この装置は岐阜大学の今尾茂樹教授が制作されたもので、今回の展示のために協力していただいた。ここに感謝したい。