2009 03 29
03 29
ピアノソロのレコーディングの日。朝9時から夜9時半までホールを借り切って、5曲録る。8時半に西尾君に車で迎えに来てもらってサイデラで機材をピックして出発。
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録音はオノセイゲンさんによるDSDレコーディングで、非常にシンプルなセッティングだけどアコースティックを極限まで解像度と再現性高く録るには余計な回線を通っていないほうがいいのは明らかで、実際にプレイバックの音をチェックすると自分が弾いていた音がそのまま再生されるのに驚く。あと足音などが異常にリアルだったりする。
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スタジオでピアノを録るとミキサールームで再生されたものを聴くときにあまりにもそのモニター環境の特色が強すぎるというかモニター環境がよくなかったりするから、非常に今回のやり方は通常とは違う。ピアノを自分でモニターするスピーカーやヘッドフォンもないし。サンレコの國崎さんが取材に来てくれた。
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で、すごいことに気づいたんだけど、ピアノの鍵盤の上の蓋を取り外して弾くと非常に音がいい。
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あの鍵盤の上の蓋は鍵盤保護用に付いているのは明らかで、ただその奥にあるピアノの弦の共振や響きを塞いでしまっている。
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というのも調律をしているときはいいな、と思っていても「終わりました、どうぞ」と言われて弾くとどうも違う、ということが続いて「これもしかして蓋取ったほうがいいんじゃない?」ということになったわけです。
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鍵盤の上の蓋がない状態で弾くとハンマーや木の部分、弦などが正面から丸見えになって、自分にも音がよく返ってくる。ただ、自分によく聴こえるだけだったら意味ないなと思って、セイゲンさんにモニターしてもらって聴いてもらったら、こっちのほうが響きが立体的になるということで
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多分、誰もやっていないと思うけど曲や弾き方によって蓋を外したり取り付けたりしながらレコーディングしました。
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コンサートでもこれから多分、蓋外して弾くと思う。しかし響き、全然違うのになんでこれまで気づかなかったんだろう。
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で、僕はよく第三項音楽やコンピュータでやってきたことと、ピアノでやっていることはそれほど違わない、とよく言ってるんだけど
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レコーディングはまさにそんな感じでした。
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一回弾いて細かくプレイバックを聴いて、よくないところを直して弾くということをやっていくと演奏が小さくなってしまう。批判的に聴くわけだから。
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それだけじゃなくて、自分が思ってもいなかった響きや弾き方、フレージングに辿り着かない。
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なので正午くらいから始まったレコーディングで途中30分くらい昼食を取った以外は、全く休憩なし、8時間以上ずっと引き続けました。5Gぶんくらい。
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最後の1時間くらいはほとんど無意識の中で弾いているような感じで不思議だった。さやかとエバラ君が買ってきてくれたお菓子やお茶もほとんど手を付けずに。というか楽屋とか休憩室の類いに一切行く時間がなかった。新津保さんがレコーディングしてる様子を撮影してくれていたんだけど見るの楽しみ。
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そこにいた誰もが驚いていたけど、よくこれだけ弾けるなというくらい引き続けて21時過ぎに終了。
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この感じが何かと似ているなと思ったらfilmachineを作ったときと全く同じだった。