2016 11 28
今度のコンサートについて説明しきれないけどしてみます。
12/4(日)のKeiichiro Shibuya Playing Piano Plusまであと一週間。
このコンサートはすごく高密度で仕掛けられていることが実はすごく多い。
けど、少し前までアブダビでTHE ENDの公演があったり、その詳細を説明する時間がなかったんですけどこの辺でしようかなと。
まず会場は寺田倉庫でここはステージとかはなくて、広い倉庫のような空間に6本の柱が立っていて、そこの真ん中を演奏に使うからお客さんは闘牛場のように僕たちを囲んで観るという感じなります。
だから演奏者というか、僕と菊地さん、未來君とお客さんの距離は異常に近い。息遣いまで聴こえるような距離感です。
これは前にも書いたんだけど今年は年末のコンサートをソロじゃなくて誰かとやろうと思ったんです。で、そのときに割とさっと浮かんだのが菊地成孔さんだったんです。
菊地さんは以前にサクリファイスで作詞をしてもらったりしたんですけど、実はすごく前に会っていて記憶は恐ろしく曖昧で多分菊地さんもほとんど覚えてないんじゃないかと思うんだけど、僕が大学出てすぐの頃に小川範子さんっていう女優さんのリミックスをやったことがあって、そのアルバムの影のプロデューサーみたいな感じで菊地さんが関わってたんですね。
で、そのときに間奏で吹いてたサックスがすごく良かったんです。これだけは今でも覚えてるんだけど。
曲はヲノサトルさんが書いてて、ポップでボッサぽかった気がするんだけど、その間奏でサックスが入ってきて聴いたことがないタイム感だったんですね、当時の僕には。
なんというか浮遊しているというか後ろに行ったり前に行ったりするんだけどフレーズはすごく明るいというのかな?とにかくなんかいいなあと思ったんですよね。
そのあとも顔合わせることはあったり、仕事もしたり、一緒にドミューンも出たりしたんですが、そんな話は恥ずかしくて出来ないので(笑)、なんとなく時は過ぎていったわけです。
そして最初の印象はサックスのプレイなのにサックスと何かでという感じで一緒にやらせてもらったことはなかったから今回はついに出来るという感じです。
内容もベーシックには即興があるんだけど、それもダラダラ長いのはつまらないからお互いに作曲するように即興する、数分で切る、その中に曲も混ぜようということになっています。
曲はお互いに知ってるスタンダードのようなものを下敷きにしたほうがいいなと思っていて、Bill EvansのMy fooolish heartとAntonio Carlos JobinのLuiza、David BowieのStarmanを選んでみた。
多分一期一会というか、聴いたことがないスタンダードになるんじゃないかと思ってます。
ちなみにこれは最近アップした去年末のピアノソロのコンサートの映像です。
sacrifice 2015.12.26 Playing Piano with Speakers for Reverbes Only
で、マチネは菊地さんとやってソワレはピアノソロで一人でと最初考えていたんだけど、何かが足りないというかバランスが悪いなと思ったんですね、1日で通してみると。そのときに思ったのは昼間はピアノとサックス、つまり音と音でやるから音以外の要素とのコラボレーションがいいかなということで。ただ映像とピアノというのはあんまり好きじゃないんですよね。BGMみたいになるというか、平坦な環境になるから。
で、ダンスなら床と身体が擦れる音がするからいいなというのと、ピアノも運動だけどダンスも運動で、それは音の掛け合いとは違う視覚的な掛け合いにもなるし面白いかもしれないと思い始めたんです。
僕は前はそれほどダンサーとのコラボレーションって興味なかったんだけど、パリでオペラ座のエトワールとかとやり始めてから面白いなと思っていたというのもある。
ただ、普通のコンテンポラリーのダンサーだと僕の音楽と合わないという気もするんです。音楽の振れ幅が抽象的だったり思いっきり具体的というかわかりやすい部分とか振れ幅があるのと、その振れ幅が無意識的だから、なんか収まりが悪いことが多かった。
ちょうどそんなことを考え始めてた少し前に森山未來くんとセクメトで朝まで飲んでカラオケしたりして遊んだことがあって、その後いろいろ考えていたら彼ならいわゆるコンテンポラリーダンスとピアノ、みたいな感じにならないで一緒に何か出来るかもしれないと思い始めたんです。
あとは僕のパリの友達でジュスティーヌ・エマという映像のアーティストがいて、ちょうど未來君とジュスティーヌがコラボレーションしてて、その映像を観たらすごく良かったというのもある。
で、飲んだときにのカラオケ歌ってるムービー送ったりしてるときに、ちょっと一緒にやれたらと思うことがあるんだけど12/4空いてる?と聞いたら偶然空いていて、じゃあという感じになったんです。
それで一度会って話そうということになって話してみたわけです、初めて真面目に(笑)。
最初は時間区切って、ソワレのコンサートの一部分にゲストとして未來君が出て、あとは僕がピアノソロで弾くという感じで考えていたんだけど、それも何かカッコよくないよねということになって、二人ともずっと舞台には出ているということにした。
ただ、ずっと踊っている必要もなくて、僕がソロで自分の曲を弾いているときにほとんど動かないでパフォーマンスを続けたり、ある曲では思いっきりシンクロして踊ってもいいということにしていて、それをメールや音のやりとりで調整しているという感じかな。
これはマチネの菊地さんとの演奏でも言えることなんだけど、即興のための即興はあまり面白くなくて、曲と即興の境界が溶けて見えなくなっていくような瞬間が面白い。
だからソワレは音だけ聴いていたら僕のピアノソロのコンサートのようなところもあるし、身体と床が擦れる音とピアノがシンクロして進んでいくところもあると思うけど、それらがシームレスに繋がっていくというのを考えています。
ピアノソロだけではなくてコンピュータとピアノでやる部分もあって、新曲でなんとヴォーカルが入っているものも披露する予定です。
ちなみにリリックというかテクストはミッシェル・ウェルベックでこれは驚くかもしれない。
で、あと空間という問題もあって。
以前は極度に落とした照明でなるべくピアノの音だけでやってたんだけど、今回はパフォーマンスも演奏も入るからそういうわけにもいかない。
で、どうしようかなと思ってるときにやはり少し前に知り合った涌井智仁というまだ26歳のアーティストのことが頭に浮かんで、彼に全面的にやってもらおうと決めました。
少し前に渋谷のヒカリエでやっていた彼のエキシビジョンの最終日に滑り込んだんだけど、それがすごく良くてその日のうちに連絡とっていて、最近だとアブダビで初演したTHE END on the Beachの映像のエデイットにも参加してもらったり、ここ急速にいろいろ一緒にやっているのです。
で、彼がやるならいわゆる会場構成というのではなくて、インスタレーションと空間構成の中間みたいな形態がカッコイイんじゃないかということになって、いろいろ話してたら蛍光灯を改造して弱く光らせたりできるから、蛍光灯だけのインスタレーションで空間を作るという極限までミニマルなアイディアを彼が出してきて、それは良さそうだと思うので任せてやってもらうことにしました。
僕は若手を育てるとかいう趣味はそんなにないから、純粋にすごい才能あるなーとかすごく好きだなとかいうのがないと一緒に出来ない。彼の場合はテクスチュアが記号的にもデータフォーマット的にも異常に複雑なんだけどキャッチー、でも把握できないくらいの情報量があるというのがすごくいいと思っているのと、そういう意味ではなんか僕とやってることが似てるんですよね。僕は音楽で彼は映像とかインスタレーションなんだけど。
ふう・・
あと、音響も今回はかなり特殊なことやっているし、食事もドリンクもスペシャルなメニューがあるんだけど、それはまた今度!コンサートまでには書きます。だいぶたくさん書いたな・・・