2014 06 04

ヴォルフガング・ティルマンスから

作品集が届きました。

 

 

内容は今までのベスト版という感じで、何冊か持ってるから懐かしいものから見たことないものまであったけど持ってなかったコンコルドのシリーズがなんかジーンときた。

セレクトというか編集もラフと丁寧さが混在してる感じが良いです。

日本の写真集の編集、ラフな良さが足りてないことが多い気がする。なーんてね。

 

 

今年の初めにWAKO WORKS OF ARTの展覧会で紹介されて、すっかり意気投合したのですが僕の音楽も気に入ってくれたみたいで、
「ジャケットで写真を使いたいときは連絡してください」というメッセージが入ってた。

いつか実現できたらいいな。

 

 

彼の写真は、ただそこにモノがあるという事実に感情が揺さぶられるのというのが特徴だと思う。

配置や光は精密に計算されているけど、多くの写真が「何かに似て見えることが別の何かを連想させる」ことに終始しているのとは対照的。

 

典型的なのは花を見て女性器に見えるとかバナナを見てペニスに見えるとかね。

そういうのは繰り返してても面白くない。記号とか意味の連鎖みたいなのに飽きてるんですね。

 

 

ティルマンスの写真は見ている人の感情を突き放さない。

ただ、そこから連想されるものは多分人によってかなり違う。

その風通しの良さというか、共有できない自由に対して肯定的なところに共感します。

 

リンゴとか人の顔とか具体的なものを撮ってるんだけど、そこから喚起される感情が凄く抽象的なことに驚く。

僕は昔、オペラシティの展覧会で呆然と会場の真ん中に30分くらい見るでもなくいたことがあった。

あの気持ちは何と名づけたらいいかわからない。

 

 

美しいっていうのは本来そういうことなんじゃないかと思うんだけど。