2006 12 09
12 09
もうすぐクリスマスですがサンタクロースが欲しい。今日この頃です。
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というのもですね。色々な意味で転換期に来ているんですね。わたくしが。というかわたくしとATAK社が。
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インディースレーベル。という言葉から連想される様々があると思うのですが、古典的なところでは好きなことを手弁当でやって採算度外視で、というやつですがATAKの場合そうではないんですね。もちろん色々な人の協力によって成り立っているという部分に変わりはないのですが。
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各タイトル、採算ラインがあって予想売り上げもあって制作しているので基本的に黒字です。というか赤字のタイトルというのは過去存在していません。
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で、これは自分が音楽で生活していく上で絶対に必要なことで、じゃないと自分のソロを1年かけて作るとかいうのは無理だし、じゃあレーベルはビジネスじゃねーかとか言われるとそんな易しい問題じゃないんですね。最小限の人数でやっているのでかかる時間も膨大だから他の仕事をするというのは不可能だし、貴族じゃないから赤字のものを出し続けるなんていうことはやれないわけです。
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というわけで今まではこのCDは大体このくらいの期間でこのくらい売れるだろうからプレス、マスタリング、ジャケット、その他にかけられる費用はいくらで、とやってきたのですが
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要するにジャケットというかパッケージのクオリティというのをこれ以上あげようとするとどうしても採算があぶない、しかし上げたいというところに来ているんですね。困った。
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これはタイトルも10枚を超えてそれぞれ試行錯誤してやってきて、タナカ君とlee君という優秀なデザイナーにも恵まれ、GRAPHという日本屈指のクオリティを誇る印刷屋さんと仕事をさせてもらってきたというのが大きいんだけど、これはスゲーというパッケージを作ったとすると今のウチの流通網だとかなりの確率で赤字になるのではないか、という予想がつくわけです。
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印刷のことも大分詳しくなって要するにこれはやられてない、なぜならすごい困難だけどすごく美しいから、というものがあるということも分かってしまった。
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加えて、来年はピアノの新作も出すことになっているので、これでスタジオ新録などしたら決定的だし、どうしようかなという気持ちなんですね。
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CDが売れない、と言われる中ではATAKの場合は相当健闘していると思うのですが、今後ということで考えると確実に流れはダウンロードに向っているわけで、しかし今の日本の状況を見ていると普及とは程遠い状況と言わざるを得ないでしょう。
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これはアンチITMSのメジャーノレコード会社が多いことによる商品不足、つまりマニアックなものだけではなく、一般的なものにおいてもあるはずのものが無い。ということが一番大きいと思います。
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つまり現在の状況というのはダウンロードに一部移行しているのでCDは売れなくなっていって、しかしダウンロードもそれほど活発ではない、という状況はやや続くと思うんですね。着うた、着メロをとりあえず外して考えると。
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僕は「CDはジャケットが味気ないね。やっぱLPじゃないと」とかいう人間ではないので、本質的には音質さえ良くなればダウンロードでいいし、音質の問題は近い将来解決されると思っています。
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しかも僕は1曲入魂型なのでその場合はアルバムではなく1曲ごとに発表という形態をとれる、しかもジャケットのことで悩む必要もないわけで問題ないんですね。
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ただ、完全にCDからダウンロードに移行するというのはまだ先の話になるだろうし、webが発達しても本がなくならないようにパッケージメディアによる音楽が無くなる、ということもないように思うのです。色々なベクトルで評価という問題があるので。
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だからCD、というかパッケージされた商品を作らないという状況にはまだならないし、それだったら要するにジャケットがあるなら優秀な仲間が周りにいるしイイものを作りたいと思うわけです。
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特にATAK010 filmachine phonicsは明らかにこれまでにないスゲーというCDなのでパッケージも力を入れたいと思っているんだけど、こういうときに中身と外見を分けるという思考が僕は好きではない。中身がよければ外見なんていいじゃん、というのはどうも欺瞞に感じる。両方すごいほうが楽しいす。
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ただ、これをやっていくと相当困難なんですよね。だから冒頭のサンタクロースがいればいいなーに繋がるのですが。
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ピーター・ザヴィルが作ったニューオーダーかなにかのジャケットで増刷すればするほど赤字が出るという恐ろしいものがありましたが、人間というのはそういう欲望を持っているのだな、ということがヒシヒシと分かる年の瀬です。
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ノロウィルスなど流行ってますが、ご自愛ください。
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師走のざわざわはなかなかいいですね。