2014 05 18
杉本博司さんとのコンサート
最近アップしてた杉本博司さんの新作展覧会のオープニングイベントのような感じでコンサートをやってきました。
パリのパレ・ド・トーキョーの中にあるSalle 37は、1937年に開催された『パリ万国博覧会』にあわせて作られた当時の面影を残す歴史的な映写室で、その中でやったのです。
写真は全てフクヘンこと鈴木芳雄さん。構図抜くの上手いなあ。
ホールに入ると杉本さんが撮影したSalle 37、つまりその会場の映像がステージにプロジェクションされていて、コンサートスタートすると映像も音も動き出して、その上にライブでピアノを重ねるという新曲でスタートしました。
新曲はワークインプログレスというか今後さらに発展しそうな感じ。
後半は「海景」の映像バージョンを背景に杉本さんのドキュメンタリー「はじまりの記憶」のサウンドトラック(ATAK018のことね)から数曲弾いたんだけど、気持ちよかった。
不思議なもので、ATAK018としてリリースしたサントラは映画につけて作曲したわけで、「海景」につけたりしわけじゃないし意識の中にもなかったと思うんだけど、やはり映像と合わせて弾いてるとしっくりきた。
他の関係ない自分の曲も混ぜたりしたこともあったんだけど(4回も公演があったから毎回同じ曲弾いてると飽きるわけです)、なんかしっくりこなかったのが驚きでした。
これはまたかたちを変えてやりたいなあ。
最後に当日のパンフレットに載せた新曲の解説文を貼っておきます。
曲はアップしないから想像して楽しんでみてください。
Photograph by Yoshio Suzuki
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ETRANSIENTについて
杉本博司氏の劇場(Theaters)シリーズを映像化した作品に対して、ピアノとコンピュータのために作曲。
映像の最初と最後に顕われるのは、初演の会場であり1937年パリ万博に際して作られたパレ・ド・トーキョー内にある歴史的な映写室 「Salle37」である。
「封印された劇場」の凍結された時間を写真化し、続いて同様に時間を圧縮、凍結した過去の劇場シリーズが連続的に投影される。
劇場シリーズは完全に写真、映像として自律している作品なので、そこに音や音楽は本来必要とされていない。
ここでは音楽によって時間を解凍、分解することを試みる。
劇場シリーズの映像化されたデータを、複雑系研究者の池上高志の協力によって、音響に変換することで、常に映像と同期し続けるノイズを生成し、その連続的な変化を軸にコンピュータによる音響を作成した。
そのノイズによる音響の中で、近年の杉本と渋谷の共通したテーマとなっている 「世界の終わり」にちなんだオリヴィエ・メシアンの
「世の終わりのための四重奏曲」(Quatuor pour la Fin du Temps)からいくつかの和音と断片が引用される。
ピアノでは全8曲楽章から成る同曲のピアノパートの最後の和音と最初の和音、最後から二番目の和音と最初から二番目の和音といった順番で
変型を伴いつつ交互に演奏され、それらの和音はコンピュータによる音響と共鳴、協和するように配置されている。