2008 10 31

10 31

昼間はangel passedのピアノバージョン作曲。でも落ち着かない。
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かぎりなく散逸的な音楽にしたいのと同時に柔らかく、かたちが見えないような時間の連続を作りたい。
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響きですらなく、偶然のように鍵盤に指が重なったり鍵盤に天使が降りてきて逃げていくような。
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夜はカイカイキキギャラリーでHi-Lo展のオープニングレセプションへ。非常に盛況。思いがけず見たリヒターが新鮮だった。あと、いつも思うのだがデヴィット・リンチの絵画は非常に良くない。メディアと悪い意味で違和感があるのと、あのメタ的に畳み込む指向は記号性と隣接してるから絵画だと陳腐化する。会場は楽しかった。絵と絵を展示する高さ、目線の関係について考える。
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夜はlee君も誘って恵比寿で3人で食事。酒笑という居酒屋でここは刺身がうまい。いつもならもう一軒くらい行くところだったんだけど今日は帰ることにした。
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明日はmariaの納骨だから、彼女の骨と一緒に作曲できる最後の夜だしangel passedの続きをやりたいというのもあった。
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正確には彼女の母親の墓と分骨するので、明日を超えてももう少し骨は僕の家にあるけど、残りの時間は少ない、という思いと同時にそんなの大したことじゃないじゃんと思いたい気持ちが混ざり合って複雑だ。
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分骨は僕のアイディアで彼女自身、母親を早くに亡くしていてもっと一緒にいたかったとよく言っていたから。
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すごく緊張しながらピアノを触ったり譜面を書いたりしながら朝まで作曲したけどangel passedのピアノバージョンは結果的に彼女の骨が僕の家にあるうちには出来上がらなかった。でもそれでいいのだと思う。
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写真や骨といった具体物はもはや僕には重要ではなく、もっと言えばあらゆるイメージを今の僕は求めていない。イメージは頭でも心でもなく僕の中にある。天使というのはそういうものな気がする。だから、僕は天使のための音楽をつくる。それでいいんじゃないかな。
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と思いながら、初めて彼女の骨がある部屋で眠った。