Keiichiro Shibuya Playing for maria (2012)

TITLE: Keiichiro Shibuya Playing for maria
ARTIST: 渋谷慶一郎

PLACE/DATE
代官山ヒルサイドテラス・ヒルサイドプラザホール
2012年9月11日(火)

CREDIT:
主催: ATAK
協力: A4A、HILLSIDE TERRACE
音響: 金森祥之(Oasis Sound Design Inc.)

SET LIST:
01. for maria
02. BLUE
03. sky riders
04. Blue fish
05. angle passed
06. painful
07. open your eyes
08. Ida
09. when attitudes become form
10. one plus two
11. Wht
12. Untitled
13. erosion
14. our music

Keiichiro Shibuya Playing for mariaについて

for mariaをリリースして3年が経った。

ご存知のようにこのCDは僕の亡くなった妻・mariaに捧げられている。
僕にとって初めてのピアノソロのアルバムで、リリースしたときにはこんなにたくさんの人に聴かれるとも思わなかったし、こんなにピアノが僕の活動の中心を占めるようになるとも思わなかった。

あの頃は一人でコンピュータの作業を続けるのが困難な状態で、ピアノを弾くくらいしか出来なかったというのがこのアルバムを作った大きな原因で、決して「この気持ちをピアノにぶつけたい」とかいう類いのものではなかった。
しかしそれが結果的に、今聴くと信じられないくらい静かで、波のない海のようなアルバムになっていて、それはよかったのだと思う。
これと同じような作品を作れ、と言われても二度と出来ない。

同時にリリースしてからのこの3年間で、弾くたびにそれぞれの曲はかたちを変えていった。
特に表題曲の「for maria」は最初は震える手で2つのコードの交替と彼女の印象を描写したメロディーを弾くのがやっとだったのが、ミニマルなシーケンスを内声に混ぜたりするのを思いついたときには、やっとここまで来れたという不思議な感慨があったりした。

最初に「for mariaをリリースして3年がたった」と書いたように、このアルバムが多くの人に聴かれて、作品として自立し、残れば彼女の名前は何度も口ずさまれ、書かれ、忘れられないだろうという、僕の目的もほぼ達成出来たと思っている。
これは聴いてくれた皆様には感謝してもしきれないと思っている。本当にありがとう。

そしてこのアルバムは4年前の9月11日、つまり彼女が亡くなった直後の彼女の誕生日に開催した同名のコンサートが原型になっている。
あのコンサートは追悼ではなく誕生会をやるんだ、という僕の気が狂った思いつきを友達が支えてくれて実現して、結果的にそれがアルバムのリリースに繋がっている。
今までも個々の曲はコンサートで何度も弾いているけど、アルバムをリリースしてちょうど3年の今年の9月11日に「for maria」に収録された全曲をアルバムの曲順とおりに弾くコンサートをしたいと思いついた。

場所は僕の仕事場のヒルサイドテラスの地下にあるホールで200名しか入れない。
会場の中央にピアノを配置してそれを円形に囲むように客席を配置してその一番外側の円周上にサラウンドのスピーカーをセッティングする。
会場の中心からはピアノの生音がしつつも会場全体をピアノの音と残響が包むようなコンサートにしたいと思っている。
聴いている人がピアノの中に入って聴くような、というこのアルバムのコンセプトをコンサートで一緒に体験出来れば嬉しいし、全曲弾き終わったときの残響を体験したいと強く思っている。

渋谷慶一郎