2005 02 19

02 19

OVAL LINKでライブ@恵比寿SPAZIOの日。

予想通りギリギリまで準備にかかって15分遅れて到着。急いでセッティングをしてサウンドチェック。このホール、カッシーナの持ち物だけあって非常にキレイにメンテされているのだが電源関係と床材が非常に劣悪。かなり大きめのスピーカーを持ち込んだため、その辺の質が重要なんだけど床の共鳴が非常に良くない。さすがカッシーナ、無印良品のようなデザインのめちゃくちゃ値段の高い家具を作るメーカーだなと思いながらリハ。しかしこういうことは非常によくある。常設のスピーカーもクソだし、音関係というのは予算が潤沢にあってもセコくされることが多い。

このイベントは基本的にブロードバンドコンテンツのセミナーというか勉強会で、そこにゲストで呼ばれて話し、ライブもするということだったんだけどトークは非常に低調。まず3人で話すというのは形式的に難しいなと思ったのと、これはブロードバンドに限らずデータコンテンツに関する場でいつも思うのだが「情報」という概念でしかモノを捉えない人間があまりにも多い。こういう視線の在り方というか発想は興奮しない。これは言うまでもなく典型的な消費の論理で、例えば音楽も単なる情報としてしか捉えていないからmp3のような非常に貧しいフォーマットにも柔軟に対応できてしまう。

実際、もはやmp3が音楽だ。と思っている人はかなりその場にいて、それはブロードバンドと音楽の可能性について聞かれたときに「基本フォーマットがmp3である限り可能性はない」という当たり前のことを言ったら場が凍ったことと(笑)、ライブが終わった後に「確かにこれはmp3では無理だということが分かりました」と言ってくれた人がたくさんいたことでも明らかで、もちろん気づいてくれたことは嬉しいし、要するにこういう認識が変わるような体験を作るということ以外に音楽であまり意味のあることはできないと思う。だから音質が悪いのは意味がないのだ。

そもそも「情報」として考えた場合、音楽から得られる情報なんていうものは実際たかが知れていて、例えばロックにしろポップスにしろメロディの力が落ちて存在も揺らいでいる上に(これについては詳しく書くと面倒なので省略。ただmp3で聴き取れるのはメロディと歌詞くらいでしょう。アレンジまでは無理だ)質もどんどん落ちているのでクズが99%、歌詞に関して言えばその割合はさらに上がって100に近い。つまり情報としての価値は音楽全体で言うとあまりないのは明らかで、ただどうしてもインターネットのような比較的若い業界はそれ自体もそれに携わる人達も情報=コンテンツに飢えていることが多い。
もちろん、ダウンロードが良くないとかipodやシャッフルにリスニングに対して否定的なのではまったくなくてこれは明らかに1年以内に主流になるし音楽を聴くメディアとして新しい可能性があるのは確かなので対応していこうとは思っている。ただ、同時にこれが新しい音楽の形態を作るとかコラボレーションが活性化する(笑)などというキャッチーなことは起こらないという確信もあって、なぜなら現状は消費と創造の双方向の技術進化ではなく消費のための技術でしかないからだ(圧縮に対するマスタリング技術も現状確立されていない)。それに対して音楽をどうするか、ということを考えるほど僕はヒマではないし、もっと言えば情報としてしか音楽に接しない人間に聴かせる音などないのだ。
よくこういうメディア転換があると「この時代にいかに生き残るか」みたいなアホな特集が組まれたりするがメディアにはメディアによって抗すればいいだけで(つまり販売方法ですな)音楽の構造的な部分がドラスティックに変わるみたいな発言はmp3みたいな下位フォーマットに対して検討するのはまったく無意味で、これは身売り。に近い。

んで、こういうことは対談の席で言うべきだったのかもしれないけど、話がソーシャルネットワーキング(mixiね・笑)に偏向していて正直眠かったので日記で。書きました。

ライブは今回も色々試して、000を解体して新しい素材と組み合わせたり。反応は完全二極化で映像に目をやられて頭を抱える人達(比較的若年層。なぜかいつもノートパソコンを開いている)と終わった後、非常に興奮して話しかけてくる比較的年輩層の企業家、研究家という興味深い結果に(笑)。やはり若きベンチャー君よりも第一線のオヤジのほうが元気な率が高いな。特に最近上場した某企業の某氏(上場の立役者なのですが)とは終わってから非常に興味深いディスカッションが。共通しているのは好奇心の量が多く、タフなことでこれは感性、体力ともに非常に重要なファクターで実際「ビジネスチャンス」とか口走っているような若者は終わっていることが多い。チャンスなんていうものはないのだよ。力だ。と言いそうになるのをこらえて懇談会では痛飲。

で、結局20時頃会場を後にしてmariaとさやかと夕食。今日は長丁場で疲れていたので家に帰っても仕事はしない、ということでryomaに電話して夜遊びのナビゲートをば(笑)、結局僕達と一番縁遠いCAYのDAKINIナイトへ。
入るとそこは非常にエスニックなガラムマサラなトランシーな空間で倍速で踊り続けるいわゆる速い人。や、非常にピースになって回りの人にボンタン飴を配り始めちゃう人。や、ベリーダンスのやうなものに見入る人。などぴーすに溢れてて楽しかったです。タイのクラブに来たみたい。しばらく遊んで、ryomaと人に言えない身辺報告などしあった後、タクシーで帰宅。長い1日。