2005 01 27

01 27

「UNKNOWNMIX RETURNS VOL.2 15: meets 渋谷慶一郎」の日。

最近思うのだが、ライブの後の日記というのが非常に書きにくい。普通どうだった、とかいうのを書いたりしたほうがいいんだろうけど、それもあまり意味ないしな。ライブ、コンサートという音楽の発表方法について、現在は明らかに過渡期だなというのが多分正解で(それは音楽メディア全般に言えることなんだけどそんなことを書くと面倒なのて止めておくとして)非常に個人的なレベルで音楽の発表の仕方をドラスティックに変えたいという欲求がある。これは体験とモチベーションに関わることで、特に今のように楽器を使わないで音楽を作っている場合この問題は大きい。

僕の考え方は非常にシンプルで大きく二極化するだろうと。1つにはフロアがあって音楽あって人が踊っているという形態は存続する可能性は高い。こんなことを書くと意外〜とか反動的〜なんて言う声が聴こえてきそうだが事実として音楽ファンというのは非常に反動的な人間が多数を占めていることは現実でそれを踏まえて結果的に予想しているに過ぎないし別にそういう範囲の中でもやりようはあるということだ。で、これはあくまでも僕が生きている間とかいう範囲での話でその後のことはどうでもいいし非常に興味がないのだが、とにかくいわゆるクラブミュージック的な音楽の在り方というのは多少の進化と反動化、陳腐化などの間で揺れつつも消えることはないだろうし、リズムというのは結果的にフィジカルな要素が高いので僕もやってて面白いと思えることは多いだろう。音が良ければ。

問題なのは、ではダンス等の機能的価値と切り離して音楽を発表する場合どういう可能性があるかということでこれは非常に難しい。今ある方法は全て過渡的な産物でこれが10年後も存在するかというとそれは有り得ないだろうし、もし存在していたとしても矮小化された形である意味では現代音楽の発表会の再現に過ぎない。映像があって客席があってPAがあって一定時間座席に座って音楽を享受するというのは単純に形式としてはクラシックコンサートの回帰であって、違うのはそこにテクノロジーというファクターが存在するということでしかない。しかし大きなホールの場合、スピーカーとアコースティックの指向性の違いからして確実に全ての人間が満足な状況で音を聴くことは不可能だ。この場合フロアのほうがまだ優位で、スピーカーの前で張り付いて痙攣するのが好きなヤツはそうするし、DJの顔を見ながら踊りたければ前に行くしという選択の自由がある。

ではどうするのか。まず同時に聴く人数を極端に減らす必要はある。音楽はフィックスしたコンサートバージョンを作る。そして聴く環境も含めてデザインしてもちろん再生環境は可能な限り最上級なものを準備する。これはほぼアイディアも固まっていて年内に実現したいなと思っているのだが今は詳細を書くと表層的にパクられたりする可能性もあるので(笑)書かないけど体感のベクトルをよりソリッドなものにしたい。で、多分セカンドアルバム発表後のライブはこの形式(どの形式だよ、という爆笑・田中のツッコミが聴こえてきます)でやるだろうという気が今はしてます。ただ、これこそが過渡期の方法なのは明らかなんだけど過渡期として有効な冒険をしたい_という気分です。

で、今日のイベントですが会場の規模に対して万全なPAシステム(ATAK nightとほぼ同等。スゴイだろー、キダタロー)を入れたので音響的な満足度は高かったのではと思います。僕も久しぶりに超高感度マイクを使ったり緊密な空間ならでは、っていうことも出来たし有意義でした。

後半の佐々木さんとのトークは予想通り時間オーバーというか気づいたら90分という(笑)感じで僕は非常に楽しかったです。っていうか佐々木さんとは最近良く話しているので、本番前にもあまり話すとホントに人前で話すことが無くなったり重複しまくったりするかもしれないと思って敢えてリハのときは殆ど口をきかないというベルナルドベルトリッチの演出法のような古典的な策を取ってみたのですがあまり意味はなかったようです(笑・多分佐々木さんは気づいていないと思う)。
最後にこういうトークの定番として質問コーナーがあって意外なことにほとんど挙手がなく、またしても僕が抑圧的なオーラを発しているのかなと心配になったときにきました、非常に面白い質問が。

「えーとライブを聴かせて頂いて、私見としてはシェルシやアイヴス、大友良英さんといった方向よりはむしろベートーヴェンやレデイオヘッド、オウテカと言った起承転結を感じたのですが〜」とかいうのから始まって、あーもう面白過ぎて忘れてしまったんだけどとにかく色んな単語が出てきたものの僕はレディオヘッドに似ているとか言われたことが嬉しくてほぼ飛んでたのですが(笑)、懐かしい感じがしてよかったです。若い評論の感じが。でも音が良くないとライブをやらないというのは金持ちの意見だというのは明らかに違うので反論させて頂きました。

結局結構遅くまでかかってイベントは終了。CDもよく売れたしサインも書きました。ありがと。終了後に近くのモンスーンで食事。帰宅。