2003 06 21

06 21

bernhard gunter+steve rodenのJAPAN(ギュンターの
レーベルtrent oiseauxからのリリース)をbunkamura B1
nadiffで購入。

長めの曲が3つ入ってて中では1曲目が非常にいい。
これはちょっと陶然とするくらい良くて、スタイルとしては
ミニマルな構成を基調に微細なノイズとサイレンスがデリケートに
配置されたいわゆるマイクロサウンドなんだけど、そうした説明
以外何も言う気がしなくなる殆どの凡百なそれとはまったくレベルも
見てる景色も違う素晴らしさで、音の質感がいい意味でミュージック
コンクレート感というか物質的です。
これは実際に録音をというプロセスを通過しているからかもしれない
し、そうじゃないかもしれないんだけど非常に好みなんですね。

というかやはりコンピュータ・ジェネレートのみのミニマル・マイクロ
なスタイルというのはかなり限界あるなーというのが正直なところ
で、これは12kの最近のリリースに共通した問題でもあると思う
んだけどやはりアンビエントに接近してしまうのですね、自分の
コントロール不可能な部分を除いて静謐かつ整然としたスタイルを
貫徹させると。で、これも好みの問題だから別にいいんだけど(笑)
僕は嫌いなんですね、アンビエント感が。

で、逆にギュンターのように物質的、ある意味鉱物的な質感で構成
する場合、妙にサンプリングもしくはポストサンプリング的な「モノ
音大全」みたいになっちゃうことが多いんだけど、むしろ彼の場合
逆である意味非常にクラシカルというか古典的な意味で作曲という
プロセスの肯定がプラスに作用している希有な例だと思います。

つまり、ですね(笑)ミニマル・マイクロという非常に大きな
方向の元祖的なキャリアにも関わらず。デジタルで無機質な
パルスサウンドを情緒的にしたようなジェネレート系微音ミニマル
とも、単にプリミティヴで石がコロコロ(笑)とか言ってるのとも
違う、いや全然違う作曲家的な構築への意思というのが良い意味で
作用しまくってて、そういうのはサムくなる人が多いんだけど、
彼の場合それとも違う、断片と全体への無意識と物質的で硬質な音色
への極めて意識的なアプローチという特異なバランスがその個性的な
作品を生んでいると思うのです。

60 sound artistsの参加曲も非常にカッコ良くて、その旨伝えたら
本人的にもすごく気に入ってるらしくて、これは何かの断片とか
部分じゃなくてこれのためにレコーディングしたんだけどすごく
うまくいったと思うっていうメールがきた。

ギュンターくらいサウンド・アートというかエレクトロ・
ミュージック全般でパンソニックとかとは違った意味で神格化され
てるアーティストも珍しいと思うんだけどその原因は上記したような
いわゆる類型、分類化不可能な特異なバランスが生む多様性が一番
大きいと思う。

60 sound artistsのときよくメールしてたけど非常に日本好き
なんですね。自分のサイトに俳句のコーナーがあるくらい。
だってその参加曲も最初タイトルが「俳句のための平和」とかに
なってて(笑)「平和のための俳句」じゃないの?とか言ったら
あ、そうだったごめん近くにいい日本語の先生がいないんだとか
言ってて、ちなみに曲はシェルシをバージョンアップしたような
すごく硬質で美しいものだったんだけどその辺のバランスもすごく
いい感じだなーと思いました(笑)