2006 04 24

04 24

東大講義3回目@駒場。の日。
__
このままだと難しくて学生が、という指摘もあり(笑)今回は結構オーソドックスにCDなどかけながらケージの話を。することに。淡々と。
___
うーん。しかし僕はやはり向いてないなと思いましたよ。知ってることを話す、ということが。人に。しかし知ってることを話さないと講義にならないですからね。とはいえ知らないことに脱線しそうになってますが、っていうかしてますが笑
___
これは人間の指向性の問題だと思うんだけど、例えば最初のデートで
___
「オレはさこういう人間でこういう仕事しててさ、何に興味あって」ということをヴァーッと女の子に話すのが好きな人か、どんなに「やべー失敗したなあ合わない、いやつまらない、というかパーじゃないか笑」と思っても相手から自分の知らないようなモノやコトを聞きたいという人か、という違いで僕は後者なんですね。大体そのまま喋らせると結構とんでもないこと話しだしたりするし。虫を食べたことがあるとか犬を殺したいと思ったとかそういうの。
___
でも結構男性は多いみたいですね、オレはさ系の人。立派だと思うんだけど僕は違う、というか会話によって自分が何をやっているのか再定義されたりすると面白いけど、面白いこと話してくれる人に触発されたいわけですね。まあ男女問わずだけど(当たり前だ)。非常によく分かった。
___
なので、ゲストももう少し増やそうかと思いまして、今打診中です。ちなみに5/1(月)は三原康裕さんで、面白いと思います。彼はあまり自分の創作のこととか人前で話したりしないんじゃないかな、って自分が苦手なことやらせようとしてますが(笑)いや、ゲストのときはいいんですよ。僕も。一回勝負だから。
___
ともかく三原さんの創作の変遷とか、あと彼は発想が非常に豊かというかモノと時間の関係とか考えてる人だから楽しみです。よく考えたらマジメに話したこと驚くほど少ないからな。というかアルコールが入ってなくて話したのは展示会のときくらいか。
___
で、、ケージにいきなり話戻すとナンバーピースに至る道をざっくり話して、ナンバーピースについてはまとまった文献は英語でいくつか出ていて今度悠治さんに貸してもらうんだけど、これは非常に興味深いです。
___
で、ナンバーピース関係は売れないというのが定説らしいのですが都内に限って言えば最近品切れ気味らしいです笑
___
そう、で、だからケージの晩年の作品に関して思うのは、先を行っていたとかいうのはよく使われる言葉だけど、彼岸の音楽であると同時に意識のその先に向っていく感じがある。僕が元々好きだったのは「The Complete String Quartets vol.2(mode)」に収録されている”FOUR”(1989)でケージが亡くなったのが1992年だから死ぬ3年前の作品ということになる。これは本当に美しい。というかこれだけ美しいという言葉以外浮かばない音楽は知らない。
____
で、最近「The Complete String Quartets vol.1(mode)」を買ってこれも非常によく聴いている。Music for FOUR(1987 revised 1988)とThirty Pieces for string quartet(1983)といういずれも30分くらいの曲のアルディッティカルテットによる初演がライブで収録されている。4人が違う時間を進行させながら重なったりすれだり無関係だったりかなり揃ったりという状態が断続的に現れては変化して、という感じなんだけどどうやって書いているのか分からない(スコアではないと思うけど)。そして全体として見ると非常に複雑なプロセスなので何回聴いても覚える、ということは難しい。というか一度聴き終わったときに思い出せるはっきりとした輪郭は数えられるほどしかない。
____
プロセスは記憶不可能で、しかし良いと感じるというのはどういうことなんだろう。その後ナンバーピースは結構な数買って(modeレーベルのがいいです)聴いてるんだけど、特にバイオリンのためのoneのシリーズなどはコンピュータで音作るときに示唆的です。
_____
例えば何を自律的というかはともかく、繊細で自律的な変化幅の絶えず変化、運動がある一つの音を作れるかということで。