2006 02 13

02 13

ねこひろしってつまらないよねー、なんであんなのがウケるの?っていう発言は数多く聞いてきたんだけど、肝心の実物をテレビで見たことなかったんですね。一昨日くらいまで。で、見たんだけど相当面白いじゃないか。と思いました。一人ネタをやってたんだけどさ。
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古代ギリシア哲学って多分30代前半で一応スルーしないと不便だし楽しくないだろうな色々、と思って最近調べてます。クリナメンとか。
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で、スペイン/マドリッド1日目。
僕は完全復活という感じで体調とか諸々(諸々って要するにウンコなんですが)問題なし。mariaはまだ辛そうで食べ物の話すると吐きそうになってました。
で、朝11時にホテルのフロントでmariaと半野さん、シャルルさん一家と合流してコンサートの会場へ。大きな建築の中にある王宮のような場所。ただ案の定というか(笑・スペインは時間にルーズです。ここまでルーズだとこっちもルーズにしてればいいから気が楽だけど)PAなどのスタッフが揃ってなくて、一時中断。1Fにある比較的豪華なカフェで朝食。とコーヒー。ここは珍しく無線LANがあってネットが入るので久々のメールチェックなど。山のようにメールが。パリでもスペインに来てからも繋がること少なかったからここぞとばかりに。

で、13時前くらいからスタッフも来たのでセッティングとサウンドチェック。しかしすごい残響。スピーカーの配置も変わっていてフロントに2発それほど大きくないものがあってホール後方を20個くらいの小型スピーカーがグルッと囲っている。で、リズムあるものとかは残響の乱反射でうまくいかないし、尖った音も同様。どうしようかなと思っていたらステージの脇にグランドピアノがあるのを見つけたので弾いてみるとコンディションもそれほど問題ないので急遽使うことにした。ラップトップとピアノとmariaの映像、という組み合わせでやることに。なのでピアノもマイキングしたりコンピューターとのボリュームバランス見たり。PAのバランスも半野さん、シャルルさんと入念に調整し終わった頃にシェスタの時間が来て一度解散。ホテルに戻って18時に来て再調整することに。

ホテルではmariaは死んでて、僕は一休み。不味いサンドウイッチを食べる。マドリッドはざっと見渡したところファーストフード的なものが多くて決して美味しい店は多くなさそう。あとはベッドでゴロゴロしたりして気分転換してから再び会場へ。調整は順調に終わって20時開演。順番は半野さん、シャルルさん、休憩挟んで僕。演奏に関しては電源のトラブルも無かったし一番うまくいったと思うんだけど同時に考えてしまったことも。

ヨーロッパでクラブやライブハウス以外に音楽を発表するとなるとホールですよね。で、近代的なものもあるけど基本的に石の響きですよね。特に王宮系のところは徹底的に石の響きで残響も楽器のように設計されている。で、そこでより「響くように」発展していったのがヨーロッパ音楽の歴史なわけで、これは作曲だけの問題じゃなくて楽器や演奏法まで全てに通低しているわけです。だからコンピュータで作ったものよりはピアノやストリングス、管楽器のようなアコースティックなもののほうがよりよく響くし、コンピュータで作ったものでもハーモニックな要素を含んだドローンやアンビエント的なものは東京のホールでは考えられないくらいよく広がるし、響く。というか、ドローンやアンビエントといったものが説得力もって出現したことを非常に深く納得して聴くことができるわけです。ハーモニックに、というのはピッチを含んだ長い音っていうことだけど、長い音は重ねればハーモニーのように聴こえるわけで、つまりハーモニーとメロディーの音楽のためにホールはある、という当たり前の現実があるんですね。

逆に第三項音楽で作っているようなのはそういうハーモニーとかメロディどころかピッチ=フリーケンシーを排除して音楽を考えるということなわけだけど、これはヨーロッパにいたら絶対に思いつかないというかやれないことだなというのも実感しました。残響の豊かな石のホールでは確かに響かないし、よく鳴らない。どころか自然倍音を含まないサインウェーブの低音が鳴っただけでも帰る客もたくさんいるわけで(特にサイウェーブの記号的意味が流通していないマドリッドのような場所ではその傾向は顕著です)当然第三項的なもっとソリッドな音には興味と拒絶がはっきりしてて、場所にあってるかというとやはりミスマッチなんですね。で、音楽っていうのは演奏する場所とか人っていう文化的背景と切り離して存在することは基本的には出来ない、というか出来たとしてもさほど楽しくはないということを考えると多分ヨーロッパを作曲する場所も含めたベースと考えると、その響くとか鳴るっていうことの占める比重が大きくならざるえないわけで、ただこれはあまり良いこととは思えない。

今やっている第三項音楽は音楽的にはアフリカ音楽をリファランスにしているわけだけど、アタックがある音やリズムと音色による音楽というのは野外の音なんですね。石の響きの音楽ではない。で、ハーモニーとメロディに表象されるような楽音の構築というのは石の響きの中で進化してきて、現代音楽では終わりの後っていう状態が続いて久しいけ。というかそれは今使っているようなテクノロジーとも相性も悪いし、色んな意味で困難なのと第一アコースティックでは終わりに着いているものをコンピュータ使って遅れてなぞるなんていうのはあり得ないわけです。ただ、実際ヨーロッパに住んで作曲していたら「こんな音は聴いたことないなあ」とか「こんな音の動きは今までなかったなあ」と言っても「とはいえこれ、ホールで鳴らないしな」ということになるわけで、やはり僕は作る場所は東京だな、という気がしました。これは東京が石のホールが少ないからとかいうことではなくて、もちろんヨーロッパもアジアも発表はする場所としてすごく大事だし、その場所に応じたアレンジというか調整は必要だけど新しい音楽を作るという環境としてベーシックにはフラットな状態を選びたい。新しい音が聴きたいので。そう考えると東京はまあいい場所だとは思います。

とか色々思いつつコンサートは最後に薄くノイズ流した中で自分の曲をピアノで弾いて終了。前半が激しかったから帰った曲もいたけど(笑)、ピアノで弾いた曲がリリカルというか古典的だったから非常に驚かれると同時にオーガナイザーのバーバーさんが「ファンタシコ!!」と大喜びしてたり拍手も大きかったしよかったと思う。ピアノとラップトップというのは今年の後半以降やろうと思っていることでもあるし。

で、mariaと終了直後に「最後だしCD売ろう!流通もスペインそんなにしてないはずだし」とか言って会場の出口で売ってたら結構売れて、なかでもびっくりしたのは若い男の子達がパラパラ手に取ってるから000を出して「これオレのなんだけど」とか言ったら「持ってる」で、全部見た後に「これだけ持ってない」とか言って007と60soundを買っていったことで、周りの友達曰く彼はコレクターらしいんですね。ATAKの。で、全部もってるらしいんだけどスペインはa-musikとかm-dosのネット通販とATAK web shopの通販くらいしか流通していないと思っていたのでびっくり。

終了後、1Fのカフェで打ち上げ。無事終わってよかった。シャルルさんと半野さんには本当にお世話になったのでお礼を言いつつ美味しいワインを飲んで終了。ホテルに戻ってからmariaと食事に街にで出たんだけど行った方向は閉まっているところが多くて、なんとか入ったところは激マズイ笑。mariaの具合も悪いし仕方なくホテルに帰って就寝。